前回の記事ではモーショングラフィックス動画の制作面を主に解説をしてきました。
今回の記事では、企業におけるモーショングラフィックス動画とあわせて、さらに詳しく動画制作のポイントを解説していきます。
実際の予算や制作期間の目安も紹介していきますので、企業の経営に導入する場合の参考としてみてください。
前回記事→【モーションとデザインを組み合わせた「モーショングラフィックス」とは一体どんなもの?】
目次
モーショングラフィックスはどのような場で生かせるのか
そもそもモーショングラフィックスとは、表現手法の一つにすぎません。確かに見栄え良いの映像制作にはおすすめですが、それ以前にモーショングラフィックスを使うべき場面なのかどうかを考えましょう。
ここではモーショングラフィックスを生かすことのできる場面について紹介します。
正しく活用できれば視聴継続にもつながりますので、ぜひ参考にしてください。
企業説明会の場面
企業説明会の場面で、モーショングラフィックスを使用した動画は効果的です。
企業説明会の動画には広告としての役割も含まれているため、コーポレートイメージを伝えることも重要になります。
この場合、実写に対してモーショングラフィックス映像補助のように使用するのがおすすめです。
例えば担当者名や役職名など、視聴者に覚えてほしいことがあるのであれば、積極的にモーショングラフィックスを使用してアピールをしていきましょう。
社内外プレゼンの場面
営業のプレゼン動画にモーショングラフィックスを織り込むのもおすすめです。
営業資料の一つとして、営業担当に持っておいてもらうことで、サービスの魅力をより伝えることが可能になります。
自社サービスの良さを口頭だけでなく視覚的な面でも伝えられるのは、モーショングラフィックス動画の良さといえるでしょう。
しっかりと注目してほしい部分(商品名やサービス名)にモーショングラフィックスを取り入れることも、営業戦略としては非常に有効です。
モーショングラフィックス動画を制作する際のポイントや順序は?
モーショングラフィックス動画を制作するには、いくつかの順序やポイントを押さえる必要があります。
この点を押さえられているかどうかで、コンテンツの質も大幅に変わってきますので、しっかり確認していきましょう。
企画・コンセプトを練る
まずは企画やコンセプトをしっかりと練ります。
企業側が決めることとしては、以下の2つ。
- 目的、コンセプト、ターゲットの明確な選定
- モーショングラフィックスを使うタイミング
この2つが決まらなければ、制作を進めることは難しくなります。初めにしっかりと決めていきましょう。
2つの項目が決定したら、次はビジュアルを決めていきます。制作者に対して、参考映像やニュアンスの誓いビジュアルイメージを伝えることで、目指しているイメージにコンテンツに近づくでしょう。
イメージボードをもらう
制作会社にイメージを伝えると「イメージボード」という資料が返ってきます。
イメージボードは、グラフィックイメージ・色・タグワードなどを添えた資料となっており、大まかなビジュアルのイメージを確認することができます。
この段階ではストーリーのすり合わせは行いませんので、注意しましょう。
字コンテの構成を練る
ビジュアルイメージができたら字コンテの構成を行います。
字コンテの構成は次の「ビデオコンテの作成」と並行して行われることが多く、この段階ではざっくりとした構成を練ることができればOKです。
ビデオコンテの作成
デザイナーがいる場合には、ビデオコンテの作成をします。
ビデオコンテとは「実際にイメージ映像を組み、音楽を入れて全体の尺・流れを確認する」ことを目的としたもの。モーショングラフィックス動画の場合には、絵コンテよりもビデオコンテのほうがコミュニケーションをする上で伝わりやすいため、重要な工程となります。
また、この段階まですり合わせができていれば、動画制作に関してはほとんど失敗をしません。反対にいえば、この工程を行わなければほぼ失敗作が出来上がります。
よくあるのは、想像よりも尺が長かったり、BGM・グラフィックのイメージが違うということです。この段階では紙芝居のようなラフな映像を確認できますので、必ず確認するようにしてください。
撮影・編集を行う
撮影やデザインに関しては必要な場合のみ行います。この段階では具体的なイラストや画面構成を作り上げましょう。
撮影やデザインを行った後、編集を行います。
もしも早めに完成イメージを確認したい場合には、制作会社に6割程度の段階で初稿を挙げてもらうのがおすすめです。ビデオコンテの段階でイメージのすり合わせが十分にできている場合には、8~9割まで作りこんでもらって問題ありません。
この段階で上がってくるものに関しては、紙芝居だったものに動きがついている場合がほとんど。
担当者が上司に説明をする際にも完成イメージを共有しやすいでしょう。
内容を確認し修正・納品
内容を確認し、修正が必要であれば修正依頼を出します。この時「○分○秒の部分」など、具体的に修正指示を出すことでコミュニケーションがとりやすいです。
これらの修正が終了したら、完成したものが手元に納品されます。
モーショングラフィックス動画制作時の注意点
モーショングラフィックス動画を制作する際には、「情報量が多くなりすぎないようにする」必要があります。モーショングラフィックス動画にありがちなのが、あれこれ情報を入れようとしてしまうことです。
こうなってしまうと情報量が多くなり、伝えたいことが伝えられなくなってしまうことを覚えておきましょう。
また、「初稿の仕上がりがどの程度の作りこみなのか」を編集者とすり合わせておくことも重要です。
依頼側と制作側の考える6割には、少なからず認識相違が生まれます。そのため「思ったよりも仕上がっていない」と勘違いされてしまう可能性も否めません。
後のコミュニケーションにも影響しますので、必ず確認しておくことをおすすめします。
上手な制作依頼の出し方
制作依頼を出すうえで、意識したいポイントは以下になります。
- 最初に入れたい内容をできるだけ提示する
- 情報量を絞る
- 情報の優先順位をつける
動画制作に関しては、出来上がったものに要素を足していくのは難しいです。まずは動画内に入れたい内容を可能な限りすべて提示しましょう。そこからいらない項目を引き算していけば問題ありません。
ただし、情報量の偏りや違和感がある場合に関してはどの段階でも修正を試みるべきです。
制作側には遠慮せず、どんどん要望を出すようにしましょう。
モーショングラフィックス動画制作にかかる期間や予算
「1分30秒程度の全編モーショングラフィックスのアニメーション動画」の場合、理想の期間としては2か月前後になります。企画に1ヶ月、編集と修正に1ヶ月程度は必要な期間です。これよりも短くなる場合には、誤字脱字程度の修正しかできない場合もありますので、余裕をもってスケジュールを組みましょう。
3秒程度の簡単な差し込み映像の場合、数日から一週間程度でできるものが大半。
制作にかかる予算は10万円~150万円程度と、内容によって大きく変動します。
まとめ:モーショングラフィックス動画は経営課題の解決にも繋がる
今回の記事では、「モーショングラフィックス動画が企業においてどのように活用できるのか」という点を解説してきました。
モーショングラフィックス動画は経営課題の解決にもつながります。今後モーショングラフィックス動画はさらに活用されていきますので、いち早く取り入れていきましょう。
この記事では制作のポイントについても解説しましたので、実際に依頼する際の参考としてみてください。
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監修:kokeshi(動画の窓口公認コンシェルジュ)
映像ディレクター/モーションデザイナー/3DCGデザイナー
誕生日:1996年2月26日
2019年 9月 法政大学経営学部卒業。同時に学生時からしていた映像制作で新卒フリーランスとして独立。
2020年 4月 デジタルハリウッド大学3DCG専科受講。
2020年 10月 U-35映像フリーランスコミュニティ 若羽-wakabane- 代表に就任。
2021年 6月 Dance Motion Award FISHBOY賞受賞。