この記事は2022年10月に寄稿の記事です。
この記事の監修者
「動画の窓口®️」動画コンシェルジュ
池上 和
不動産営業マンから動画クリエイターに転身。現在は動画コンシェルジュ。 『動画の窓口®︎』プロデューサー。企業動画を年間約1,000本プロデュース&制作している。動画の窓口株式会社社長。合同会社イエロー代表。動画フリーランスコミュニティ「若羽-wakabane-」創業者。
2021年から流行の兆しを見せているYouTube Shorts。ショート動画をひと言で表すならば「短くてサクッと見れる動画」です。今回はそのショート動画の使い方、作り方について解説していきたいと思います。
この記事では細かいテクニックよりも、より実践的な内容をお届けできればと思います。
目次
YouTube Shortsの特徴と使うメリット
■YouTube Shortsの特徴
- YouTubeのショートフィードで流れる60秒以内の縦型動画のこと。
- ジャンルは、ポップ、カルチャー、ミュージック、ビジネス、男性向け、女性向けなど網羅的である。
- 投稿時は、60秒以内の縦型動画を投稿すると自動でShorts動画扱いとなる。
- 投稿すると通常の動画とは異なりショートフィードと言われる動画カテゴリで再生される。
- 一度ショートフィードに入ると動画が自動的に無限に流れる。
- 短尺なため視聴回転率が高く、ユーザーは可処分時間の中で大量の動画を視聴することが出来る。
- ユーザーは「見終わった動画」や「見たくない動画」を上にスワイプすることで新しい動画を視聴出来る「受動視聴型」である。
- ユーザーには自動的に自分の好きな動画が流れてくる。そのため「受動視聴フィード」とも言うことができる。
- スマホ視聴に最適化された縦型動画が9割以上である。
■YouTube Shortsを使うメリット
- チャンネル登録数が100人未満だとしても視聴回数が数百回〜1000回を超える(2022年10月現在)。
- 60秒以内の短い時間でメッセージを伝えることが出来る。
- 通常の投稿よりもある程度動画の作りが荒くても見てもらいやすい。
重要ポイント
YouTube Shortsは視聴維持率が高く、動画の作り方によっては最後まで動画を見てもらえやすい。
YouTube Shortsはどのくらい見られているの?
サムライト社による公表では、2021年8月〜9月時点で15歳〜24歳世代においては、YouTube ShortsはInstagramと比較して67.5%が視聴したことがあるという結果でした。現在はそれからさらに1年経っていますので、その割合も9割付近まで上がっていることが予想されます。
海外の調査でも2022年6月時点で世界のYouTube Shorts視聴ユーザー数が15億人を突破したという発表がありました。参考:YouTube Shorts tops 1.5B logged-in monthly users, touted as feeder to long-form content
YouTube Shortsのアナリティクス(視聴分析)、視聴維持率、コンバージョンの傾向
ここではYouTube Shortsのアナリティクス(視聴分析)、視聴維持率、コンバージョンという3つの観点から、どんな傾向があるのかご紹介させていただきます。
アナリティクス
YouTube Shortsの視聴者のほとんどはチャンネル未登録者です。一例として、チャンネル登録3000人のチャンネルでは96%以上がチャンネル未登録者です。これはショートフィードでご祝儀表示がされるためです。
YouTube Shortsは20代〜50代まで幅広い視聴分布となっています。年齢が上がるにつれて視聴者は減っていくものの、若者だけが見ているメディアではないという傾向があります。一例として、20代は30%で、50代では15.5%の視聴率となっています。
視聴維持率
視聴維持率は冒頭5秒あたりを目処に下がりはじめるという傾向があります。視聴維持率は60%〜110%程度が合格ラインと言ってよいでしょう。※視聴維持率が100%を超える動画は1人あたりの再生が2周目に入る場合。
通常の横型動画よりも視聴維持率が高い傾向にありますが、これは1つあたりの動画が短いことが関係しています。
重要ポイント
視聴維持率が高いほど長くショートフィードで表示される傾向がある。ユーザーにとって興味関心の高い動画と見なされるため。
これは仮説ですが、視聴維持率傾向は以後投稿する動画にも影響されると思われます。
コンバージョン
主に期待できるコンバージョンは「チャンネルへの遷移」と「気になった情報の検索」の2つです。その次に「チャンネル登録」と「情報のシェア」の2つになります。
チャンネル登録率は0.05%〜0.1%程度で合格点と考えます。終了画面のコンバージョンは期待しないほうがよいでしょう。
YouTube Shortsの動画の作り方<デザイン編>
■パターン1 縦型全画面動画
これはスマホサイズに最適化された動画です。作り方としては、撮影時に縦向きで撮影する方法の他に、もともとは横向きで撮影した動画を縦に切り出して使用する方法があります。
■パターン2 スクエアサイズ(1:1)、または16:9の動画が中央にあり、上下に固定情報を掲載する動画
もともとは横サイズで投稿していた通常投稿の動画を再活用した動画です。上部にタイトル、下部にテロップやCTA情報が入っているデザインが一般的です。
あえて縦横比をスクエアサイズ(1:1)で制作すれば、Twitterの動画埋め込み投稿(1:1で表示)にも転用が可能なので知っておくと便利です。
競合プラットフォームのTikTok社のTipsによると、パターン1のほうがパターン2に比べて「6秒視聴率」は約2倍となっています。「エンゲージメント率」は2.2倍近い効果が出る統計もあります。
YouTube Shortsの動画の作り方<企画/クリエイティブ編>
ショート動画の作り方はYouTubeなどでもさまざまな解説がありますが、ここでは動画の窓口なりのポイントをお伝えさせていただきます。
■インプレッション
インプレッションの観点からは3つのポイントをご紹介します。
- タイトルや詳細欄に、ターゲットに興味がありそうなワードを入れておく(VSEO対策)。
- 冒頭2秒のインプレッション(直感、印象)を大事に。ここを突破すると視聴維持率60%以上が期待できます。
- 驚く内容、共感できる内容、知りたい内容、など視聴者が興味のありそうなメッセージを冒頭でしっかりと伝える。
■全体の作り
全体の作りで考えるべきポイントは以下の5つです。
- 動画の制作までに脚本や企画書をまとめておく(撮影や編集の簡略化にもつながります)。イメージは4コマ漫画。
- 長くしすぎない。無駄な情報は徹底的に省く(一言、一文字でも不要な情報は省く)。
- 全体を通して一貫したテーマで制作する。
- 『見やすさ=分かりやすさ>オシャレさ』という基準で作っていくべき(ただし高級商材など、よほどブランドイメージを重視する場合はオシャレさも検討が必要)。
- セリフやテロップが無い“間”が1秒以上あると視聴ストレスがかかる(ただし食べ物や公務作業、ペットのような視覚情報だけで面白さを満たせる場合は別)。
- 中毒感の高いコンテンツも視聴維持率が稼げるが、企業が活用する上では内容の注意が必要となる(中毒感:意外性または共感性の高いテーマ。見たことがないもの。知的欲求をくすぐる内容、バイオレンス、セクシャル、子ども、ペットなど)。
重要ポイント
ショートはコンテンツは、隙間時間や電車内、横になりながらなど、リラックスした状態で何気なく見たいものです。あまり形式的すぎて広告のように思われない、コンテンツとして楽しめるような作りを心がけましょう。
■BGM、テロップ、アニメーション
BGM、テロップ、アニメーションでは3つのポイントをご紹介します。
- 無音視聴にも対応できるようテロップを入れるとよい。
- テロップデザインは「少なく」「大きく」「テンポ良く」を意識する(スマホユーザーがメインであるため)。
- 理由がない限りは画面が静止状態にならないよう工夫する(文字を動かす、画像を動かす、など)。
「タイトル」と「冒頭2秒のインプレッション」に注力しましょう
ショートフィードはサムネイルよりも「タイトル」と「冒頭2秒のインプレッション」に特に注意を払って制作・投稿することがおすすめです。
■タイトル
以下にタイトルや冒頭に表示するテロップの一例を記載します。
- 情報の結論…例:「アジャイル方式なら最速で動画が作れる」「動画活用困ったら「動画の窓口」がマジで良い!」
- ○○な理由…例:「動画の窓口が最速で動画を作れる理由って?」「今YouTubeショートが見られている意外な理由って?」
- なぜ〜なのか:例「なぜ動画は冒頭2秒が重要なのか?」「なぜ編集した動画の方がライクがつくのか?」
- できない理由・ダメな理由:例「撮影現場で黄色い服はNG!?」「これをする人は動画投稿してはいけません。」
- ○選:例「今10代に一番見られているYouTuber○選」「視聴数を上げる編集テクニック○選」
- 実は:例「実はスマホも一眼レフも画質は一緒らしい?」
- あるある:例「腱鞘炎不可避!動画編集者あるある」「身体の張り方が異常ww動物専用カメラマンあるある」
重要ポイント
これらに限らずテクニックは無限にありますが、重要なのは「冒頭2秒」と「タイトル」でおっ!と思わせることです。
■冒頭2秒のビジュアルインパクト
冒頭2秒のビジュアルインパクトは重要です。例えば以下の3例を比べるとみなさんはどれに興味が引かれましたか?
AまたはBに興味が引かれた方が多いのではないでしょうか?このように冒頭のイメージによってまったく同じ内容でも続きが気になるかどうかが変わってきます。
YouTube Shortsではどのように自社サービスにコンバージョンさせたらよいのか?
以下のようなコンバージョンが考えられます。
(1)チャンネル登録
こちらはショート動画から自分のチャンネルへ遷移させ、その後チャンネル登録を促したり動画視聴を促したりする場合です。ただしチャンネル自体がしっかり機能していないと意味をなさないため、YouTubeの運用とセットで考える必要があります。
(2)認知拡大
実は企業のYouTube Shorts活用にとって、これこそがもっとも重要だと動画の窓口では考えています。ショート動画は「ショートフィード」という特殊な視聴領域で放映されるため、視聴者にとっては「選んでもいないのに勝手に動画が流れてきた」という視聴体験になります(受動視聴)。勝手に流れてきた動画が「おもしろそうなら観る」「自分に関連がなさそうならば飛ばす」というものです。さながらテレビCMのようだと思いませんか?だからこそ、ターゲットとなる視聴者が興味あるコンテンツとして視聴を出来るような動画を投稿してあげることで、ブランドの認知拡大に大きな貢献をすることができます。
重要ポイント
広告費をかけずに広告効果が見込めるというわけです。そういう意味では、TikTokやYouTube Shortsなどの縦型短尺動画はとても素晴らしい発明だと思いました。
■注意点
ここまででショート動画の特長や魅力をお伝えしてきましたが、最後に注意点をお伝えしておきます。
1.ショート動画はすぐに表示されなくなる
ショート動画は一般の投稿と比べて数日を過ぎると人々の目に届かなくなります。そのため、継続的に投稿をし続ける必要があります。
2.視聴維持率や高評価率が低いと次の投稿動画に影響する可能性がある
これはアルゴリズム上未確認の内容ですが、視聴維持率や高評価率が低いとユーザーにとって有益な動画ではないとみなされるため、次回投稿した際にショートフィードに流れづらくなるように思われます。そのため、一つひとつの動画がユーザーにとって魅力的で長く見たいと思われる動画にする必要があります。
3.コンバージョンの少なさ
YouTube Shotsは「情報カード」や「終了画面」といったスイッチが無いため、それらを利用してのCTA(コンバージョン)はあまり向いていないと考えられます。
本記事ではYouTube Shortsの使い方や作り方について、できるだけ実践的な解説をさせていただきました。記述した内容以外にも「これはどうなの?」という気になることがありましたら、ぜひ動画の窓口までお問合せください。ご閲覧ありがとうございました。