映像を制作する際に、カメラや編集機材の他に大切なものとしてよく挙げられるのが「照明」です。
近年のカメラ性能の向上もあり、ある程度の明るさがあれば映像を撮影することはできますが、それでも照明は必要なのでしょうか。
また、照明を使う際にはどのようなものを選べば良いのでしょうか。
今回はそのような部分に焦点を置き、照明について考えてみたいと思います。
目次
映像に照明は必要なの?
まずはこの問いに答えましょう。
単刀直入にいうと、「照明は必要」です。
もちろん照明がなくても撮影を行うことはできます。
しかし、照明があることで撮影がしやすくなるのは紛れもない事実です。
たとえばこんな時…
撮影が長時間にわたると、特に屋外の撮影の場合には周囲のコンディションが大きく変わります。
快晴の昼下がり、十分な明るさの下撮影を始めたのに気づけば夕方に…。
おまけに雲が出てきて明るさが確保できないとなればもう大変です。
なんなら日をまたぐことだってあるかもしれません。
そうなってしまうと撮影後に序盤に撮影したシーンと、終盤に撮影したシーンの整合性をとるのは非常に難しくなってしまいます。
こうした際には照明を使い、できるだけ同じ明るさで撮影をすることで視聴者側の違和感を取り除くことができます。
もし照明がなかったら…
それでは逆に、照明がなかったらどうなってしまうでしょうか。
先ほどとは別のシーンを想定してみましょう。
例えば撮影したい人物の背景にとても明るい夕日があったとします。
いわゆる「逆光」の状態です。
明るさのレベルを夕日に合わせてしまうと人物が真っ黒になってしまいますし、人物に合わせて明るさを確保しようとすると夕日が白飛びしてしまいます。
こういうシーンでは、夕日に明るさを合わせつつ人物に照明を当てることで、人物も背景も美しく映像に残すことが可能です。
照明次第で印象が変わる?
照明の重要性についてはきっと理解していただけたことでしょう。
その上で知っておいていただきたいのは、使う照明の種類によって映像の印象がガラッと変わるということです。
一口に照明といっても色や明るさ、使っている電球など種類はさまざまです。
これらを使い分けることでより効果的な映像演出が可能になります。
次の章からは照明選びのポイントをご紹介します。
照明選びのポイント
照明を選ぶ際に注意しなければならないことは、主に2つあります。
「色温度」と「照度」です。
「色合い」と「明るさ」といえばより伝わりやすいでしょうか。
この2つのポイントさえ外さなければ、照明選びで後悔することはないでしょう。
ぜひこのあたりを意識して照明の仕様をチェックしてみてください。
色温度
色温度は「K(ケルビン)」という単位で示される、色合いを数値化したものです。
ケルビン数が高いほど寒色寄り、低いほど暖色寄りです。
つまり、低ケルビン数の照明を使うことで動画には暖かみを足すことができますし、高ケルビンの照明を使えば動画全体をクールに引き締められます。
照度
照度とは照明の明るさのこと。
明るさの測り方によって数値の表し方は異なりますが、多くの場合は放射される光の束の量によって測定される「ルーメン」という単位が使われます。
このルーメンの値が大きければ大きいほど照明は明るく、小さければ小さいほど暗いことを示します。
映像の照明の種類
我々は普段、照明に囲まれて生活をしています。
しかし映像を撮影するための照明というのはあまりピンとこないのではないでしょうか。
実は使っている電球の種類は家庭用のものとほぼ同じです。
それぞれの特性を知って効果的な電球を選びましょう。
白熱球
白熱球は以前から幅広いシーンで使われてきた電球で、橙色〜赤色の暖色系のものが多くなっています。
そのため映像を撮影する際の照明として使用すると映像全体に暖かみを与える事ができる一方で、意図せず映像の印象を変えてしまうことがあります。
その場合にはカラーグレーディングという色調補正を行う必要も出てきます。
蛍光灯
屋内照明として用いられる蛍光灯は長細いイメージかもしれませんが、撮影用のものは電球タイプの形状をしていることがほとんどです。
白熱球は点灯させているうちに発熱することがありますが、蛍光灯での発熱はかなり抑えられています。
色温度も極端に高すぎることも低すぎることもないので、使いやすいものとなっています。
LED電球
私たちの身の回りの生活ではLED照明を活用するのが主流となりましたが、その流れは撮影用照明でも同じです。
各社開発に力を入れていることもあり、LED照明のラインナップは充実しています。
LEDの特性上他の電球に比べて寿命が長いので、一度購入すれば長期間使うことができるのもポイントです。
三点照明を知っておくことでよりクオリティの高い映像となる
「三点照明」というものをご存知でしょうか?
映像を撮る際に覚えておくと非常に役立つ照明配置の考え方です。
特に屋内でインタビュー動画を撮影する時、人物をきれいに映すために三点照明は必須だといえます。
ぜひこの機会に覚えておいてくださいね。
三点照明とは?
三点照明とは、その名の通り「3ヶ所に照明を設置すること」で成り立ちます。
ただ、やみくもに照明を配置しても意味はありません。
3つの照明(「キーライト」「フィルライト」「バックライト」)にそれぞれ役割を持たせ、それに沿った配置を行うことで被写体を引き立たせることができるのです。
キーライト
キーライトはいわゆるメインのライトです。
被写体を照らし、明るさを確保する役割を担います。
一般的には正面から45度、上下角も45度つけて配置するのが良いとされています。
こうすることで被写体に立体感をもたせることができます。
フィルライト
光があれば、当然影が生まれます。
キーライトが作った影に光を当てて影を和らげる作用をするライトがこの「フィルライト」です。
被写体に影をつけてシリアスに見せるという演出方法もあるので、そうした場合にはフィルライトはあえて使わないこともあります。
バックライト
被写体の後ろ側から当てるライトがバックライトです。
輪郭を作り出し、また奥行き感を演出する効果を持ちます。
後ろから当てるライトの総称が「バックライト」であり、当てる角度によってさらに「ヘアライト」「リムライト」に分類されます。
三点照明を理解する際にはひとまずバックライトを覚えておくと良いでしょう。
映像制作における照明の役割は非常に重要です!
ここまででお分かりいただけたと思いますが、動画撮影をする際には照明が非常に重要で、なおかつ照明の世界はとっても奥が深いです。
照明の種類や違いを理解した上で効果的な演出を行い、より良い映像作品を作りましょう。
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