「ジェットカット」という編集技法をご存じですか?これは主にYouTubeの動画で定番ともいえる編集技法で、目にしたことがない人はいないといっても過言ではありません。
ジェットカットを使用することでテンポのよい動画になり、視聴維持率を格段にあげることが可能です。
この記事ではジェットカットとはどのようなものなのか、またどのような場面で活用することができるのか解説します。もし動画の制作を考えているならきっと役立つはずです!
この記事の監修者
「動画の窓口®️」動画コンシェルジュ
池上 和
不動産営業マンから動画クリエイターに転身。現在は動画コンシェルジュ。 『動画の窓口®︎』プロデューサー。企業動画を年間約1,000本プロデュース&制作している。動画の窓口株式会社社長。合同会社イエロー代表。動画フリーランスコミュニティ「若羽-wakabane-」創業者。
目次
ジェットカットとはどのような編集技法?
まずはジェットカットとはどのような編集技法なのかご紹介していきます。
これまで名前を知らなかっただけで、内容を聞けば納得していただける方も多いはずです。
普段見ている動画を思い浮かべながら読み進めてみてください!
「間」をカットする動画編集の技法
ジェットカットを簡単に説明すると動画の中の「間」をカットする編集技法となります。
特にアドリブで話す場面では「えー」や「あー」といったつなぎの声が入ってしまいがちです。また、そうでなくても話と話の間にどうしても「間」ができてしまいます。
そのような情報として意味をなさない発言や「間」を完璧にカットする技法がジェットカットです。
現在ではYoutubeやSNSでよく使われている
もともとこの技法の元となったのはテレビ番組の編集で使われた「ジャンプカット」だといわれています。
長時間にわたるインタビューをテレビの放送枠に合わせて短くカットしたり、映像にテンポ感を出したりするために開発されました。
近年では「ジェットダイスケさん」がYouTubeの動画編集に取り入れ始めたことで、YouTube動画での編集技法の定番となりました。
ちなみにジェットカットという名前はジェットダイスケさんの名前からきているそうです。
主にジェットカットが活用される場面
言葉で説明するより、実際に動画を見ていただいたほうが早いと思うので、動画を掲載します。
言葉で説明するより、実際に動画を見ていただいたほうが早いと思いますので、動画を掲載します。
こちらは人気YouTuber「はじめしゃちょーさん」の動画です。
冒頭の企画説明のシーンから大胆なカットが多用されているのにお気づきでしょうか?もしかすると違和感を覚えなかった方も多いかもしれません。
いまやYouTubeやYouTube Shorts、TikTok、Reelsでは頻繁にジェットカットが使われています。そのためWeb動画を見慣れている方は、ジェットカットに対する違和感を抱かなくなっていると考えられます。
基本的にジェットカットは以下の3つのような動画で使用することがオススメです。
視聴維持率を最大化させたいまとめ動画
これはひろゆきさんや令和の虎のまとめ動画のように、1時間の動画や数時間のライブ配信の中で、特にトピックとなる情報をかいつまんで見やすくまとめている動画です。
平均的には1〜3分程度でまとめられているものが多く、これらの動画は基本的にジェットカットが使用されています。情報がまとめられている面白さと同時に、ジェットカットにより無駄な情報が省かれているため、会話の出だしから結論までを最短時間で視聴することができ、視聴維持率が高い傾向にあります(50〜70%)。
なお、より視聴維持率を高めるにはサムネイルとタイトルで結論を表示させたうえで、その内容を動画内で解説していき、最後に改めて結論を出すという構成にすることをおすすめします。
YouTube Shortsのように制限時間が限られている動画
限られた時間で多くの情報をいれるために、ここでもジェットカットが有効活用されます。
YouTube Shorts | 最大60秒まで |
TikTok | 最大10分まで |
Reels | 最大90秒 |
時間制限内に動画を編集するポイントとしては以下の3つが挙げられます。
1.極力いらない情報を削ぎ落とす
2.結論を最初にもってくる(ランキング動画のようにネタバレになるものは最後にまわす)
3.テロップを追加して情報を補足する(視覚と聴覚で情報を伝えることでジェットカットのようなテンポの早い動画でもしっかりと内容を訴求することができる)
YouTube Shorts、TikTok、Reelsなどの受動視聴な動画
YouTube Shorts、TikTok、Reelsなどの動画はスワイプすることでユーザーに最適な動画が勝手に再生されるため受動視聴と呼ばれています。受動視聴な動画のメリットは表示回数が多く、再生回数が稼ぎやすいことです。
一方で少しでも興味がない、自分に関係ない、面白くないと判断されてしまうとすぐにスワイプされてしまうというデメリットもあります。後者のデメリットを緩和するための技法のひとつがジェットカットです。もはやこれらの縦型動画では、ジェットカットが使われていない動画はないといっても過言ではないでしょう。
以下の動画のように6分以上の動画を1分にまとめる場合にはジェットカットが必要になります。
上記のような6分以上の動画を1分にまとめると以下のような動画となります。
なぜYouTuberのほとんどはジェットカットを多用するのか?
それではもう少し深掘りしてみましょう。なぜ特にYouTubeの動画においてジェットカットが多用されているのでしょうか?
この理由を深く知ることで、今後動画作りをする際のヒントを得ることができるかもしれません。
動画を短くするため
YouTubeの動画のほとんどは数分程度の隙間時間に視聴できるものです。
テレビ番組では標準的な長さの30分程度の映像も、YouTubeの動画ではかなり長い部類になります。
そのため、1本の動画でできるだけたくさんの情報を伝えるためには無駄な部分をとことん削る必要があるのです。
そうした考えのもと、ジェットカットが使われているケースはかなり多いといえます。
テンポ感を演出するため
ジェットカットを使うと動画全体のテンポがよくなるため、視聴者の「飽き」を遠ざけて離脱率を下げる効果が見込まれます。
YouTubeには無数の動画があり、いつでも視聴することができるため、視聴者が本当に興味のある動画しかクリックしませんし、長く視聴しようとも思いません。
かつてのYouTubeはサムネイル、タイトル、チャンネル名、再生数の4つの情報から動画のクリックに誘導されていました。近年ではこれに加えて、自動再生で動画の内容を一部見られるため、実際の動画の内容を見てクリックに誘導させることができるようになっています。
クリックまで誘導し、クリック後はジェットカットを利用した動画で視聴維持率を最大化させることで、その動画が視聴者にとって有益であるとYouTubeのアルゴリズムに評価されます。YouTube用に短い動画を作成する場合はジェットカットを用いて動画の離脱率を下げるようにしましょう。
ジェットカットの4つの技法
ジェットカットを実際に取り入れたい場合には、どのような技法が使えるのでしょうか。ここでは主に4つのジェットカットの技法をご紹介します。
基本的に編集方法は同じですが、使う素材や使い方によって印象が大きく変わります。それでは、ひとつひとつみていきましょう!
①基本のジェットカット
まずはカットを駆使して会話の無駄を省く基本技です。先述したようなテンポのよさを演出することもできます。編集の仕方はすごく簡単です。
人物が話している場面や物を映している場面から必要なシーンだけをピックアップし、残りの部分はすべてカットしてしまうだけ。大胆に編集するのがコツです。
②メリハリをつけるためのジェットカット
たとえば採用動画のように社員のインタビューをたくさん表示させる動画では、一人ひとりのインタビューが長すぎると視聴者が飽きてしまう傾向があります。
そのため冒頭30秒程度はジェットカットを使って、テンポよく複数人のインタビューを掲載するのはひとつの手です。
その後、特に重要な内容を話す経営者のインタビューでは、逆にジェットカットを使わずにじっくりと話を聞けるような流れにするのはメリハリのある編集といえます。
③インサートと組み合わせたジェットカット
インタビューや話のなかで「あー」や「えー」などの言葉、思考による「間」が入ることは仕方ないといえます。これらをジェットカットして繋ぐとどうしても場面の切り替えが激しくなってしまいます。ジェットカットによる違和感を軽減させるために、話している内容を連想させる画像や、映像を表示させることによりジェットカットを隠す編集手法があります。
④演出上のジェットカット
続いて、演出上のジェットカットのご紹介です。
基本のジェットカットでは必要な部分だけを残してあとはカットしてしまうと言いましたが、場合によっては会話の途中で切ってしまうのもありなんです。
熱く語っている場面であえて次のシーンに変えることで、シュールさすら演出できます。
ジェットカットはテンポのいい動画を作るのに最適
今回ご紹介したのはYouTubeではもはや定番の編集方法となった「ジェットカット」でした。
編集の仕方自体は決して難しいものではないので、ぜひジェットカットを効果的に使って視聴維持率の高い魅力あふれるコンテンツを作ってみてください。
動画の窓口ではこうした動画に関する相談をいつでも受け付けています。是非お気軽にお声がけください!