近年、企業がSNSを使った効果的なプロモーションに成功するケースが多くみられます。
SNSと聞くとTwitterやInstagramを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、現在はTikTokを使った企業PRが盛んになっています。
PRにあたってどのSNSを使うべきかお悩みの方や、TikTokに興味がある企業担当者の方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
本題に入る前に、TikTokについて簡単にご紹介します。
【TikTokとは】
- 10秒〜30秒程度の短尺動画を中心とした縦型動画専用のSNS
- 投稿は動画のみ
- TikTok上でもテロップを入れるなどの編集ができるため、誰でも参加可能
- 他の主流のプラットフォームと比較して、10代〜20代の若年層ユーザーが多め
- エンタメ、食、ライフハック、ビジネスなど幅広いジャンルの投稿があり、近年では若年層ユーザーのみならず30代以上のユーザーも増えている
- ユーザー数は日本国内だけで1,700万人以上(2023年5月)、世界規模ではなんと10億人以上
- 有名インフルエンサーやYouTuberも続々と参入しており、拡散力が高いSNS
- まだ企業の参入が少ないため、ジャンルによっては十分に業界1番を狙える
以上の特徴を踏まえた上で、本記事を読んでみてください。
この記事の監修者
「動画の窓口®️」動画コンシェルジュ
池上 和
不動産営業マンから動画クリエイターに転身。現在は動画コンシェルジュ。 『動画の窓口®︎』プロデューサー。企業動画を年間約1,000本プロデュース&制作している。動画の窓口株式会社社長。合同会社イエロー代表。動画フリーランスコミュニティ「若羽-wakabane-」創業者。
目次
企業がTikTokを活用する事例は増えている
実はTikTokを活用する企業は年々増えています。
TikTokが運営している「TikTok for Business」では、続々と大手企業の成功事例や体験が更新されています。
ここからは実際の事例をご覧いただき、TikTokを活用する際の参考にしていただければと思いますので、興味がある方はチェックしてみてください。
今回は、以下の3つの企業の事例をご紹介します。
- 大京警備保障
- ポケットモンスター(ポケモン)
- ドミノピザ
中小の警備会社がTikTokで一躍有名に
TikTokをはじめとするSNSの良いところは、中小企業であっても工夫次第で影響力を得られることです。
東京の警備会社である大京警備保障の事例もその一つです。
冷えピタを上司の顔面に投げつけるというネタが若者に大ウケしたことで、一躍有名になりました。
この「バズり」がきっかけで名前を知った方も多いのではないでしょうか。
積極的なコラボでコンテンツを世界的にPR
「ポケットモンスター(ポケモン)」は日本のみならず、世界的に人気を集めている一大コンテンツです。
ポケモン公式のTikTokアカウントでは、新たな魅力を発信するため、有名アーティストとのコラボレーションを行っています。
特に韓国のガールズグループ「ITZY」や日本のアイドルグループ「櫻坂46」などを起用した投稿は注目を集めています。
このようなコラボレーションは出演する両者にプロモーション効果をもたらしますが、人気を集めなければそもそもコラボレーションは実現しません。
そのため、TikTokの運用開始直後はコラボレーションよりも、アカウントを育てることに重点を置くと良いでしょう。
チャレンジ企画でユーザーを巻き込む
ドミノピザが2020年に行った「#ドミノチーズ100万」キャンペーンは、ユーザーにチーズを伸ばす動画を投稿してもらうという企画でした。
ハッシュタグ付きの投稿でこの企画へ応募ができ、当選したユーザーには100万円とドミノピザ本社で1日「最高チーズ責任者」になる権利が渡されました。
このようにユーザー参加型のキャンペーンを行うことで、目標とするCPAなどの達成や収益増大などが期待でき、絶大なプロモーション効果が見込めます。
ドミノピザはこのキャンペーンの他にもTikTokを積極的に使って広告宣伝をしているので、気になる方はチェックしてみてください。
今回ご紹介した事例以外にもTikTokのバズった事例に興味があるという方は、こちらのアカウントもチェックしてみてください。
企業がTikTokを活用するメリット
なぜこれほど多くの企業がTikTokを活用するようになったのでしょうか。
実は企業のTikTok活用には、他のSNSにはないTikTokならではのメリットがあります。
今回は以下の3つのメリットについて詳しく解説します。
- 若年層へのアプローチができること
- 親しみやすい投稿ができること
- 一般ユーザーを巻き込みやすいこと
TikTokのメリットをよく理解し、TikTokの特徴を活かした戦略で効果的なPRにつなげましょう。
若年層へのアプローチが可能
企業がTikTokを活用して発信を行う最大のメリットは、特定のターゲット層へ強い訴求ができることです。
TikTokのユーザーは10代から20代の若年層が多く、実際のインサイトでも傾向が伺えます。もし若年層に対して商品やサービスのPRをする場合、TikTokの活用は非常に効果的だといえるでしょう。
また同じ年代であっても、TikTokを使うユーザーはTwitterやInstagramなどのユーザー層とは異なる場合があります。
他SNSでは取り込めなかったユーザーを取り込むチャンスなのです。
親しみやすい投稿ができる
TikTokは数あるSNSの中でも若年層が多く、「カジュアル感」を出しやすいSNSです。そのため、いい意味で「企業らしくない」投稿ができます。
やはり企業のアカウントというだけで堅苦しい印象を抱いてしまう人もいます。
しかし、TikTokでユーザー層に合わせたカジュアルな投稿を行うことで、その垣根を崩すことができるでしょう。
普段は堅い存在として認識されている企業のアカウントが、親しみやすい投稿をすることで、ギャップを感じさせる効果も狙えます。
一般ユーザーを巻き込みやすい
YouTubeほど気合いを入れずに手軽に動画を投稿できるため、ユーザーは投稿者としての意識と視聴者としての意識の両方を持ち合わせています。
そのため、「コメントに質問を投げてもらう」など視聴者参加型のイベントをうまく打ち出せれば、ユーザーが自らプロモーション効果を増幅させてくれることでしょう。
実際に、TikTokではハッシュタグを使ったキャンペーンが頻繁に行われています。
もしもキャンペーンを新たに始めるのであれば「ユーザーが気軽に参加できるか」という観点も取り入れてみましょう。
企業がTikTokを活用する時のデメリットや注意点
TikTokの活用にはデメリットもあります。
メリットと表裏一体ともいえますので、TikTokの特徴を把握した上で乗り越えましょう。
ここでは以下の3つのデメリットをご紹介します。
- 炎上するリスクがあること
- 人的コストがかかること
- PRできる層が限られること
炎上のリスクがある
他のSNSでも当てはまりますが、SNSの運用には常に炎上のリスクがつきまといます。
一度投稿がバズると、それが一般的に良い内容だとしても、受け取りによってはネガティブな捉え方をされてしまう場合もあります。使い方次第では企業イメージの低下にもつながるので、決して軽視してはいけない部分です。
過去に炎上した事例を、以下の3つご紹介します。
ディズニー公式がTikTokダンス動画撮影を推奨した事例 | ディズニーリゾートの公式が「タワー・オブ・テラー “アンリミテッド”」のプロモーション動画を公開。 その内容が、若者ゲストがパーク内でダンス音楽に合わせて踊ったりはしゃいだりしているものだったため、批判が集まり炎上。 公式ブログでは、アトラクションを楽しむためのコンテンツとして、「今話題のアプリで、音楽に合わせてダンスを撮影してみましょう」とダンス撮影を促す記事を公開。 昨今パーク内において、TikTokのようなアプリを利用してダンス動画の撮影を楽しむ若者が周囲の迷惑となっているのが現状。 その様子が度々話題になっており、その迷惑行為をパーク側が肯定したため、炎上につながった。 |
リソースクリエイションの広報担当が、新卒の社員をTikTokで踊らせた事例 | 「新卒の社員の顔が無表情」「なぜか広報担当が前に出る」「入社してすぐにTikTokに晒されるのはかわいそう」などの理由から炎上。 さらに動画内で踊らされた新入社員が、2日目に1人退社、3日目に2人退社し、5人から2人になるという事態に。 近年、紹介を兼ねて、新入社員のダンス動画をTikTok上に公開する企業が増えている。 そのことに対してネット上では、「新入社員を踊らせる会社きつい」「新入社員マジでかわいそう」「会社の評価を落とす無能人事部」といった、ネガティブな意見が散見される。 TikTokに動画を公開している企業の従業員の中でも意見が分かれており、「『デジタルタトゥー』が問題視されている時代にこういうことをやらせる企業はどうかしている」という意見を持つ方もいる。 一方で、「踊るのは分かっていたのでは」との声も上がっている。企業の口コミやSNSをチェックすれば、「この企業は踊らされるかもしれない」と容易に予測できたのではないかという意見だ。 また、「SNS世代だから、動画で表現することに対して抵抗がないのでは?」という意見もある。 |
トランス女性起用で白人マッチョ男性が不買運動、バドライト(アメリカで一番人気を誇るライトビール)の売り上げが急減した事例 | トランスジェンダーのインフルエンサーである、ディラン・マルベイニーとのコラボが保守派の猛反発を買ったことで炎上し、「バドライト」の売り上げが急減。 また、バドライトを生産するアンハイザー・ブッシュ社は、伝統的な顧客層の反発を買った上に、マルベイニーを十分擁護しなかったとして、一部のLGBTQとその支援者にまで批判されることになった。 |
・MAG2NEWS-TikTokで新入社員を踊らせる企業に賛否の声。「あり得ない」「むしろ楽しんでる」
・TDRハック-【炎上】ディズニー公式がTikTokダンス動画撮影を推奨。マナー違反を助長する?ディズニーシーの雰囲気はどうなる
・Yahooニュース-トランス女性起用で白人マッチョ男性が不買運動、バドライトの売り上げが急減
炎上の可能性を極力低減させるためには、投稿前に複数人でチェックを行う体制の構築や、SNSでのコンプライアンス規則を明文化することが必須でしょう。
人的コストがかかる
SNSの運用には、想像以上にコストがかかるケースが多くみられます。
TikTokも例外ではありません。投稿自体は無料でできるものの、動画の企画や制作を行う際の時間的・人的コストがかかります。
他のSNSでは写真のみの投稿が可能なケースも多いですが、TikTokは基本的に動画を投稿するプラットフォームです。
どうしても動画制作は画像の作成よりも、撮影や編集といった制作時間がかかってしまうため、制作部分でかかるコストを事前に想定しておくことは必須でしょう。
PRできる層が限られる
これはメリットと表裏一体の部分ですが、現在はまだTikTok利用者の多くが若年層であるため、それ以外の層への訴求効果は薄くなりがちです。
2023年頃から30代以上のユーザー層も増えてはいますが、実際のインサイトではまだ若年層ユーザーが多いという結果です。
事前にプロモーションのターゲット層を明確にし、それがTikTokを利用しているユーザー層と合致しているか検討する必要があります。
しかし、近年徐々に利用者層が広がりつつあるため、完全に諦めてしまうのはもったいないでしょう。自ら新たなユーザー層を引き込む勢いで、TikTokを活用していきましょう。
TikTokを運用する上でのポイント
TikTokをプロモーションに使う上でのポイントは、どのようなものがあるでしょうか。
ここでは特に以下の3つのポイントをピックアップします。
- 「企業らしさ、堅さ」を薄めること
- ユーザーが参加しやすいコンテンツを作ること
- バズるシリーズを見つけること
どのポイントも非常に大切なので、ぜひ覚えておいてください。
「企業らしさ、堅さ」を薄める
TikTokのよさはカジュアルな投稿ができることです。そのため、できるだけユーザーが親しみやすい投稿を目指しましょう。
特にプロモーションを前面に押し出した企業広告は、鬱陶しく思われるケースも多くみられます。
企業特有の堅苦しさや露骨なプロモーションは避け、ユーザーに寄り添った運用を心がけましょう。
ユーザーが参加しやすいコンテンツ作りをする
カジュアルさの演出に共通する部分もありますが、ユーザーが参加しやすいコンテンツを作ることは、TikTok活用において大前提と言っていいほど重要です。
TikTokは一部のユーザーがコンテンツを発信し、視聴者が受け取るという一方的なSNSではありません。
「参加したい」と思ってもらうことが、他のSNSよりも重要になります。上でご紹介したポイントと共に、TikTok運用の参考にしてみてください。
バズるシリーズを見つける
TikTokで視聴回数やフォロワーを増やすためには、バズるシリーズを探すことも重要です。
どんなにニッチな商品やジャンルでも、ネタや掛け合わせによってバズるコンテンツにすることが可能です。
バズるコンテンツを見つけ、そのバズ動画にさまざまな特徴を加えていき、視聴回数が高い動画をシリーズ化しましょう。
シリーズ化ができたら次はコラボです。ジャンルの異なる有名インフルエンサーなどと積極的にコラボをして、さまざまな角度からユーザーを増やしましょう。
過去にTikTokでバズったコンテンツを確認したい方は、こちらのアカウントを参考にしてみてください。
これからはTikTokでのPRも必須に!
TikTokを活用したプロモーションはすでに定番になりつつあります。
特に若年層に向けた訴求効果は抜群といえるため、ターゲット層が一致する場合にはTikTokの活用をおすすめします。
今後のPR戦略の一翼を担う存在として、ぜひ前向きに検討してみてください。