動画の活用は現在のマーケティング戦略において、企業が自社のブランドを強化し、顧客エンゲージメントを高めるための強力な手段のひとつとして当たり前に利用されています。
さまざまな種類の動画がありますが、最近ではYouTube ShortsやTikTokなどのSNSのショート動画をPR、採用、集客の目的で使用したいという問い合わせが増加しています。
実際にショート動画の広告配信の数字は上昇しており、TikTokの広告配信のボリュームは2020年に比べて10倍以上になると推測されています。
このようにショート動画は企業がPRする上で欠かせない手段となっていますが、やみくもに動画を投稿しても再生数は伸びるものではありません。
ショート動画の効果を最大限に引き出すために、運用する前にしっかりと計画を立てる必要があります。
本記事では、成功するショート動画を制作するために、土台となる設計時に大切な5つのポイントを紹介します。
この記事の監修者
「動画の窓口®️」動画コンシェルジュ
池上 和
不動産営業マンから動画クリエイターに転身。現在は動画コンシェルジュ。 『動画の窓口®︎』プロデューサー。企業動画を年間約1,000本プロデュース&制作している。動画の窓口株式会社社長。合同会社イエロー代表。動画フリーランスコミュニティ「若羽-wakabane-」創業者。
ショート動画の活用でおさえておきたい5つのポイント
ポイントは以下の5つです。
- 世界観の設定
- のびるネタの開発
- 見てもらいたい視聴者に向けたコンテンツ作り
- シリーズ性
- コラボ性
ポイントを使用して、実際に動画の窓口で動画を作成したチャンネルはこちらです。
それでは1つずつ解説していきます。
1.世界観の設定
企業の特色やイメージを映像上で具体的に表現する方法を考えます。
例えば、動画を見て楽しんでもらいたいのか、従業員の魅力を伝えたいのか、コーポレートカラーや企業の理念・ビジョン、大切にしているクレドなどを抽出して映像で表現する必要があります。
会社のフィロソフィーに関わるため、自社が視聴者にどのような存在と認識されたいのかを考える上で、世界観の設定は非常に重要なポイントです。
世界観の設定をする際、どこから考えればよいか迷う方も多いでしょう。そんなとき、まず以下の4点から考えるとよいです。
- ロケーション:どこで撮影をするか、何を背景に映すか
- 服装・格好:スーツ、制服、私服
- 喋り方・口癖:丁寧な言葉で話すか、親しみやすい話し方にするか
- 組み立て:コントのような形式にするか、解説する形式にするのか
ここで、世界観がしっかり設定されている例として、ANAのTikTokのアカウントをご紹介します。
このアカウントでは必ず登場人物がCAの格好をしており、背景は飛行機が入るロケーションで撮影されていることが多いです。
また、全体的に明るい雰囲気の動画が多く、旅に対してポジティブなイメージを持ってもらえるような工夫がされています。
チャンネルの世界観については、しっかりと時間をかけて考えましょう。
2.伸びるネタ
ショート動画において、伸びるネタは確実にあります。
ネタについては、インターネットで調べていただくと、研究された記事が数多くありますので、この記事ではネタについて細かい解説は行わず、伸びるネタにどのように独自性を入れていくのかについて解説します。
伸びるネタを投稿しているアカウントの例としては以下の2つです。
1.大京警備保障
こちらのアカウントでは、冷えピタを上司の顔面に投げつけるというネタがバズりました。
このネタには3つの要素がかけ合わさっています。
- 当時トレンドになっていた、冷えピタに水を含ませる実験のネタ
- 企業のSNS動画の鉄板になっている、上司いじりネタ
- 三和交通でウケたおじさんがふざける(踊る)ネタ
2.金沢フルーツ大福 凛々堂 裏なんば店
こちらのアカウントでは、フルーティーでインパクトのある大福の断面図の動画がバズりました。
「今回は何が入っているか?」視聴者に考えさせるクイズ形式の動画を投稿しています。視聴時間が長い動画がおすすめにのりやすいというTikTokのアルゴリズムを考えて制作された動画です。
視聴時間を伸ばす工夫として以下の2つの要素があります。
- フードポルノ・飯テロ(フルーツの断面図)
- クイズ性
凜々堂の大福を知らない人が見ると、ただの大福にしか見えないのですが、割ってみると大きなフルーツが出てきてインパクトがありますよね。
2社に共通することは、テクニックと独自性を掛け合わせることで、バズるコンテンツを探すこと。
バズる内容を探すには、根気にも似たトライアルが必要となります。バズりにはある種のテクニックが存在します。早く結果に繋げたい場合はプロに教わりながら作成することがいちばんの近道です。
またショート動画では、やってはいけないネタが1つだけあります。
それは「自社のPRをすること」です。事例として3つの動画をご紹介します。
冒頭数秒にチャンネルPRが入っていて視聴者が早期に離脱しやすい
映像自体が宣伝になっていて見る意味がない
冒頭の静止画が長くて動画だと気づかれずに飛ばされてしまう
ショート動画を見るユーザーはお菓子を食べながら、ベットに横になりながら、あまり何も考えずに見ている人がほとんどです。
宣伝のニュアンスが少しでも入ると「見たくない」と思われ、動画を飛ばされます。視聴者のことを考え「ながら見」でもおもしろいなと興味を持たせる動画を制作しましょう。
例えば最後に挙げた動画を修正するなら、タイトルを変更します。
「修理対応」という言葉自体が自社のPRになっているので、例えば「【諦めないで】意外と出来るランドセルの修理テク」などコミュニケーションメッセージを視聴者に合わせるだけで視聴率は変わるでしょう。
ネタの考案にはさらにポイントがあります。
動画の窓口では「ショート動画の60分ネタ出しアイデア会」を無料で実施しています。興味がある方はお問い合わせからご相談を承っています。
3.見てもらいたい視聴者に向けたコンテンツ作り
自社の商品を購入する人は誰なのかを考えてコンテンツを作ることは大切です。
実際に商品を身につけたり、体験したりする人とお金を出して購入する人が異なる場合があります。
その場合、もちろん実際に身につけ、体験する人へ向けたコンテンツも必要ですが、購入する人へ向けたコンテンツの制作も重要になってきます。
ここで具体例を2つご紹介します。
1.アクセサリメーカー
アクセサリーの購入目的の多くを占めるのはプレゼントです。
身につけるのは女性ですが、プレゼントするのは男性が多いため、より男性に見られるコンテンツを制作したほうがよいのではないかという仮説があります。
2.塾・予備校
塾や予備校は、中高生の学生が通うものですが、お金を出すのは親です。
そのため高校生に見てもらうために宣伝するより、親世代に見てもらい信頼を得られるようなコンテンツを発信することが大切です。
2つの例のように、見てもらいたい視聴者を複数考えて、視聴者に合わせたコンテンツ作りを考えるとより効果的に動画を使用できるでしょう。
4.シリーズ性
シリーズにすることには大きな2つのメリットがあります。
- 企画を毎回考える時間を減らせる
- 継続性を生むことが可能
SNSは1日1投稿で、できるだけ毎日更新するのがオススメです。シリーズ性のない投稿ばかりだと、毎回企画から考えることになり、更新頻度を担保することが難しくなります。
また仮に、社内で制作の担当者が変わったとしても、シリーズものを作っておくことで、臨機応変に対応することができます。
例えば、1で紹介したように、世界観がしっかり作られていると、その世界観自体をシリーズ性につなげられるでしょう。
また2で紹介した大京警備保障や、金沢フルーツ大福 凛々堂のようにネタは同じで内容だけを変えることも正しいシリーズの作り方です。
シリーズ性のある動画は、毎回同じテーマであっても、視聴者が期待しているネタを提供し続けることができれば、定期的に再生数を伸ばせるコンテンツになります。
5.コラボ
効果的なコラボを実現すると、広く視聴者を集めることができます。
コラボの企画を行う際には、3でご紹介したように、自社の動画がどのような視聴者に見られているのか、ウケているのかを理解しておく必要があります。
自身のチャンネルの視聴者を理解し、視聴者層が被っている相手を探してコラボをお願いすることが重要です。
どんなに影響力がある企業や、インフルエンサー・TikTokerとコラボしても、自社の視聴者層とまったく異なる場合は、双方のユーザーから共感を得られずに、視聴者を伸ばすことは難しくなります。
また、コラボをお願いする際は、コラボする相手側にもメリットが必要です。
わかりやすいメリットとしては2つあります。
- コラボ費用を払う
- 自社のチャンネルが有名であること
自社チャンネルが有名であれば、コラボ相手に対しても視聴者が増えるというメリットを提示できます。そのためコラボをお願いするまでに、チャンネルをある程度有名に育てておきましょう。
まとめ
企業がショート動画を最大限に活用するために、制作する際に押さえておくべき5つのポイントについて解説しました。
これらのポイントを活用し、成功するショート動画コンテンツを制作するための道筋をつけていきましょう。
トレンドを把握しながら、自社らしさを出したコンテンツを継続して作り、ショート動画を有効活用してください。
動画の窓口では「ショート動画の60分ネタ出しアイデア会」を無料で実施しています。ショート動画を始めたいと思われている方は、ぜひ一度お問い合わせください。